身近な労働法の解説 ―ポジティブ・アクション―

2024年10月01日
身近な労働法の解説 ―ポジティブ・アクション―

男女雇用機会均等法8条では、性差別の禁止に関して、女性労働者に係る措置に関する特例を定めています。

目次

1.女性労働者に係る措置に関する特例(8条)

雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置−これまでの女性労働者に対する取扱いなどが原因で職場に事実上生じている男女間格差を解消する目的で女性のみを対象としたり女性を有利に取り扱う以下の措置−は、5条および6条の規定(性別を理由とする差別の禁止)等には違反しません。
 なお、男性労働者については、一般にこのような状況にはないことから、男性労働者についての特例は設けられていません。

(1)募集および採用
 女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない雇用管理区分における募集または採用に当たって、情報の提供について女性に有利な取扱いをすること、採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用することその他男性と比較して女性に有利な取扱いをすること。

(2)配置、(3)昇進、(4)教育訓練、(5)職種の変更、(6)雇用形態の変更、について、一つの雇用管理区分における女性労働者が同じ雇用管理区分の男性労働者と比較して相当程度少ない場合に、対象を女性労働者のみとすること、女性労働者を優先すること、有利な条件を付すこと、その他男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすること。

※「相当程度少ない」とは、日本の全労働者に占める女性労働者の割合を考慮して、4割を下回っていることをいいます。4割を下回っているかについては、雇用管理区分ごとに判断するものです。「雇用管理区分」についての詳細は、厚労省HPを参照ください。

2.ポジティブ・アクションとは(厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」より)

固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から、「営業職に女性はほとんどいない」「課長以上の管理職は男性が大半を占めている」等の差が男女労働者の間に生じている場合、このような差を解消しようと、個々の企業が行う自主的かつ積極的な取組みをいいます。
ポジティブ・アクションの具体的な取組みには、次の2つがあります。

①女性のみを対象とする、または女性を有利に取り扱う取組み例
 応募の対象を女性のみとする、女性を優先して採用の対象とする、昇進・昇格の試験の対象を女性のみとする

②男女両方を対象とする取組み例
 女性を受け入れた経験が少ない管理職に対する研修を行う、人事考課基準、昇進・昇格基準などを明確に定める、出産や育児による休業がハンディとならないよう制度を見直す

内閣府男女共同参画局は、男女共同参画社会の実現に向け、女性の参画を拡大する最も効果的な施策の一つであるポジティブ・アクションを推進し、関係機関への情報提供・働きかけ・連携を行っています。

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