身近な労働法の解説 ―直接差別の禁止(2)―

2024年07月29日
身近な労働法の解説 ―直接差別の禁止(2)―

男女雇用機会均等法6条では、配置・昇進・降格・教育訓練・福利厚生・職種の変更・雇用形態の変更・退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新について、性別を理由とする差別の禁止について規定しています。

目次

1. 男女雇用機会均等法6条

法6条では、「事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない」と規定しており、次の①~④についての差別的取扱を禁止しています。

  1. 労働者の配置(業務の配分および権限の付与を含む)、昇進、降格および教育訓練
  2. 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であって厚生労働省令で定めるもの
  3. 労働者の職種および雇用形態の変更
  4. 退職の勧奨、定年および解雇ならびに労働契約の更新

2. 差別的取扱をしていると認められる例(指針)

(1)配置、昇進、職種の変更、雇用形態の変更、労働契約の更新

  • 一定の職務への配置・一定の役職への昇進・職種の変更・雇用形態の変更・労働契約の更新に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること、その条件を男女で異なるものとすること、能力および資質の有無等を判断する場合にその方法や基準について男女で異なる取扱いをすること、男女のいずれかを優先すること。
  • 配置における業務の配分・権限の付与・配置転換に当たって、男女で異なる取扱いをすること。
  • 職種の変更・雇用形態の変更について男女で異なる取扱いをすること。

(2)降格、退職の勧奨

  • 降格・退職の勧奨に当たって、その対象から男女のいずれかのみとすること、その条件を男女で異なるものとすること、能力および資質の有無等を判断する場合にその方法や基準について男女で異なる取扱いをすること、男女のいずれかを優先すること。

(3)教育訓練、福利厚生

  • 教育訓練・福利厚生の措置の実施に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること、その条件を男女で異なるものとすること
  • 教育訓練の内容について男女で異なる取扱いをすること。

(4)定年

  • 定年の定めについて、男女で異なる取扱いをすること

(5)解雇

  • 解雇に当たって、その対象から男女のいずれかのみとすること、その対象を一定の条件に該当する者とする場合において当該条件を男女で異なるものとすること、能力および資質の有無等を判断する場合にその方法や基準について男女で異なる取扱いをすること、男女のいずれかを優先すること

なお、(1)のうち配置・昇進・職種の変更・雇用形態の変更、(3)教育訓練に関し、法8条の措置(ポジティブ・アクション)を講ずる場合については、この限りではありません。

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