身近な労働法の解説 ―直接差別の禁止(1)―

2024年07月01日
身近な労働法の解説 ―直接差別の禁止(1)―

男女雇用機会均等法5条では、性別を理由とする差別の禁止について規定しています。

目次

1.条文の規定と目的

男女雇用機会均等法5条では、「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」と規定し、募集および採用の場面において、性別に関わらず均等な機会を与えることとしています。

2. 募集・採用における禁止事項の例

「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(平18厚労省告示614号)では、禁止される措置を具体的に明らかにしています。

募集および採用に関し、一の雇用管理区分※において、例えば、次に掲げる措置を講ずることは、5条により禁止されるものであるとしています(※雇用管理区分とは、職種、資格、雇用形態、就業 形態等の区分その他の労働者についての区分であって、当該区分に属している労働者について他の区分に属している労働者と異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているものをいいます)。

  • 募集または採用に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。
    例:一定の職種(いわゆる「総合職」、「一般職」等を含む)や一定の雇用形態(いわゆる「正社員」、「パートタイム労働者」等を含む)について、募集または採用の対象を男女のいずれかのみとすること。
  • 募集または採用に当たっての条件を男女で異なるものとすること。
    例:募集または採用に当たって、女性についてのみ、未婚者であること、子を有していないこと、自宅から通勤すること等を条件とし、またはこれらの条件を満たす者を優先すること。
  • 採用選考において、能力および資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
    例:①募集または採用に当たって実施する筆記試験や面接試験の合格基準を男女で異なるものとすること。②男女で異なる採用試験を実施すること。③男女のいずれかについてのみ、採用試験を実施すること。④採用面接に際して、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問すること。
  • 募集または採用に当たって男女のいずれかを優先すること。
    例:①採用選考に当たって、採用の基準を満たす者の中から男女のいずれかを優先して採用すること。②男女別の採用予定人数を設定し、これを明示して、募集すること。または、設定した人数に従って採用すること。③男女のいずれかについて採用する最低の人数を設定して募集すること。④男性の選考を終了した後で女性を選考すること。
  • 求人の内容の説明等募集または採用に係る情報の提供について、男女で異なる取扱いをすること。
    例:①会社の概要等に関する資料を送付する対象を男女のいずれかのみとし、または資料の内容、送付時期等を男女で異なるものとすること。②求人の内容等に関する説明会を実施するに当たって、その対象を男女のいずれかのみとし、または説明会を実施する時期を男女で異なるものとすること。

3. その他関連条文

上記2.の指針においては、同法14条のポジティブ・アクションを講ずる場合については、この限りではないとしています。

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