身近な労働法の解説 ―今月の実務チェックポイント―

2024年03月04日
身近な労働法の解説 ―今月の実務チェックポイント―
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育児休業給付について 再確認

育児休業は、法改正を重ねてきていますので今回は育児休業給付について、ポイントを再確認しましょう。

育児休業給付金の支給要件

  1. 雇用保険の被保険者である
  2. 1歳未満の子を養育するために育児休業を取得している
  3. 育児休業開始前の2年間に、原則として11日以上就業している月が12カ月以上ある
  4. 育児休業期間中の各1カ月で、就業している日数が最大10日あるいは80時間以下

〇育児休業開始前の「2年間に、11日以上就業している月」とは?

事業所の賃金計算の締め切り日が単位ではありません。休業開始前(休業を開始した日の前日)から遡って計算していくことになります。したがって、給与計算上の出勤日数とは異なることがあります。

〇賃金日額とは?

原則、育児休業開始前の6カ月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額です。公共職業安定所(ハローワーク)への申請時に事業主が提出する「休業開始時賃金月額証明書(票)」に記されています。休業を開始した日以前の2年間に完全な賃金月(賃金計算期間が満1カ月あり、かつ、賃金支払基礎日数が11日以上ある賃金月)が6カ月に満たない場合は、賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上である6カ月間に支払われた賃金の総額で計算します。

受給資格の確認

雇用保険被保険者の方が育児休業を開始したときは、その被保険者の方を雇用している事業主が「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」および「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を公共職業安定所(ハローワーク)に提出して、その被保険者の方の受給資格の確認を受けることとなっています。

この受給資格確認の手続は、育児休業給付金支給申請書を被保険者の方に代わって事業主の方が提出することとしている場合には、最初に育児休業給付金支給申請書を提出する際に、同時に行うことができます。事業主が被保険者の方に代わって提出することの同意書の他、母子手帳の写しなど出生したことが確認できる書類も添付します。

支給申請手続

原則は2カ月に1回申請しますが、被保険者の方が1カ月ごとの申請を希望する場合は1カ月ごとの申請も可能です。初回申請の前に確認しておきましょう。また支給される期間は原則、子の1歳の誕生日の前々日までの分です。

支給額

休業開始時の賃金の67%(育児休業開始から181日目以降は50%)です。また支給額には以下のような上限があります。

支給率上限額
67%の場合310,143円
50%の場合231,450円
令和6年7月31日までの額

支給上限については、毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとにしておりますので、毎年8月1日に変更されることがあります。

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