身近な労働法の解説 ―間接差別の禁止―

2024年09月02日
身近な労働法の解説 ―間接差別の禁止―

男女雇用機会均等法7条では、募集・採用、配置・昇進などにおいて間接差別を禁止しています。

目次

1.間接差別とは

  • 性別以外の事由を要件とする措置であって、
  • 他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、
  • 合理的な理由がないときに講ずること

をいいます。

2. 合理的な理由がない場合間接差別として禁止される3つの措置(厚生労働省令)

【措置①】
労働者の募集または採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とするもの

(身長・体重・体力要件を選考基準としていると認められる例)

  • 募集または採用に当たって、身長・体重・体力要件を満たしている者のみを対象とすること。
  • 複数ある採用の基準の中に、身長・体重・体力要件が含まれていること。

(合理的な理由がない場合として考えられる例)

  • 荷物を運搬する業務を内容とする職務について、当該業務を行うために必要な筋力より強い筋力があることを要件とする場合
  • 単なる受付、出入者のチェックのみを行う等防犯を本来の目的としていない警備員の職務について、身長または体重が一定以上であることを要件とする場合 【措置②】労働者の募集もしくは採用、昇進または職種の変更に当たって、

【措置②】
労働者の募集もしくは採用、昇進または職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること

(転勤要件を選考基準としていると認められる例)

  • 募集もしくは採用、昇進または職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができる者のみを対象とすることまたは複数ある採用または昇進の基準の中に、転勤要件が含まれていること

(合理的な理由がない場合として考えられる例)

  • 広域にわたり展開する支店、支社等がなく、かつ、支店、支社等を広域にわたり展開する計画等もない場合
  • 広域にわたり展開する支店、支社等はあるが、長期間にわたり、家庭の事情その他の特別な事情により本人が転勤を希望した場合を除き、転居を伴う転勤の実態がほとんどない場合

【措置③】
労働者の昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること

(転勤経験要件を選考基準としていると認められる例)

  • 一定の役職への昇進に当たって、転勤の経験がある者のみを対象とすること。
  • 複数ある昇進の基準の中に、転勤経験要件が含まれていること。

(合理的な理由がない場合として考えられる例)

  • 特定の支店の管理職としての職務を遂行する上で、異なる支店での経験が特に必要とは認められない場合において、当該支店の管理職に昇進するに際し、異なる支店における勤務経験を要件とする場合。
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